2022年07月
2022年07月31日
【星になりたかった君と】

少女は星になりたかった。
そして僕は、彼女の星を探した―
祖父の遺志を継ぎ、私設天文台の守り番となった大学生の鷲上秀星は、星祭りの夜、高校生の琴坂那沙と出会う。
「あたしね、星になりたいんだ!」新しい天体を最初に発見した者には命名権が与えられる。
―そんな天文学界のルールを知って、那沙は「誰も知らない星」を一刻も早く見つけたいと強く望んだ。
彼女の前向きさに背中を押され、秀星も一度は断念した新天体発見への情熱を再燃させるが、それは悲しい運命の序章に過ぎなかった…
続きを読む
2022年07月30日
【毒吐姫と星の石】

全知の天に運命を委ねる占いの国ヴィオン。
生まれながらにして毒と呪いの言葉を吐き、下町に生きる姫がいた。
星と神の巡りにおいて少女エルザは城に呼び戻され隣国に嫁げと強いられる。
唯一の武器である声を奪われ、胸には星の石ひとつ。
絶望とともに少女が送られたのは聖剣の国レッドアーク。
迎えたのは、異形の四肢を持つ王子だった…
続きを読む
2022年07月29日
【太陽(ぼく)と月(きみ)の図書室】

人付き合いが苦手な朝日英司は、ある特別な思いから図書委員になる。
一緒に業務をこなすのは、クラスの人気者で自由奔放な、月ヶ瀬ひかり。
遠慮のない彼女に振り回される英司だが、ある時不意に、彼女が抱える秘密を知ってしまう。
正反対なのに、同じ心の痛みを持つふたりは、“ある方法”で自分たちの本音を伝えようと立ち上がり…
続きを読む
2022年07月28日
【俺ではない炎上】

ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。
既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。
まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。
会社も、友人も、家族でさえも。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。
必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。
続きを読む
2022年07月27日
【八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている】

本当に好きだった。
こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。
言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。
まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
――透子。
高校二年の夏。
心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。
それは見間違えようもなく、透子の文字だった。
続きを読む