2024年01月14日

【満月がこの恋を消したとしても】

X-4

朝起きると、春奈の携帯に3件のメッセージが表示される。
自分宛てに送った「私には素敵な恋人がいます!」、三森という男子からの「初めまして。あなたの恋人です」、そして親友・花蓮からの「その人が春奈の彼氏で間違いないよ!」

高校2年生の甲斐春奈は、満月の日に恋に関する記憶だけが消えてしまう病気を患っていて、この生活にも慣れつつあった。
日曜日、自己紹介も兼ねて三森と出かけることになった。
けれど私は気づいていた。
三森が本当の恋人ではないことを。
そして、本当の恋人が誰なのかを…
三森はどのような経緯で「偽物」の恋人を演じることになったのだろう。
なぜ花蓮は嘘をついているのだろう。本当の「恋人」は、私のことをどう思っているのだろう。
どんな選択をすれば、誰も不幸にならずにすむのだろう―






良かったと思います。
花蓮だけ気持ちを伝えたのかどうかが描かれなかったけど彼女の気持ちはちゃんと昇華されたのだろうか。

春奈にとって恋していた時の記憶が無くなる事は最初辛いものだったけどそれがあるからこそ「心変わり」という現象がハッキリ分かってしまう分別の辛さもありましたね。
好きになった人に「ずっと好き」という気持ちをもち続けるって結構大変な事だよね。
これは対象が人でなくて物であっても同じ。

どうせ忘れてしまうのに春奈に偽物の恋人を作る理由が最初よく分からなかったんだけど、読み進めていくうちに理由が明かされ、「花蓮、それは逆効果」って思ったよ。
だって実際「今まで遠くで見ているだけで満足」だった要人に「思いが通じた場合の幸福」を与えて(見せて)しまった訳じゃん?
そりゃあ要人の気持ちは大きくなるし、より花蓮に振り向く確率が低くなるのは初めから見えてますよ。
まぁ登場人物達は完璧超人な訳ではないですし、物事を上手く進められるスキルを持っているはずもないのでこれはこれで人間な感じがするけどね。


結果的には失恋してしまう五十嵐くんにしても恋した時間が意味のない物では無かったし、何度忘れられても好きの気持ちがあったからやってこられたんだと思う。
彼も人間だから何度も何度もリセットボタン押されたらしんどくなる気持ちがあるのは分かる。
でもリセットされるって事はちゃんと好きでいてくれた証拠でもあるから救われてる部分もあったんじゃないかな。
だから消えてないのでは?と気付いた時のショックが大きかったってのもあると思う。

春奈の症状も最後はちゃんと治ったみたいで良かったけど一番の勝ち組は棚からぼたもちな要人でしょう。







at 21:00│Comments(0) タイトル(ま行) 

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