2024年06月18日

【死霊魔術の容疑者】

1645

巨大な版図を誇るラーマ国。
しかし、一代で大国を築き上げた「武王」が病を得たことで各地で反乱が勃発し、王国に滅亡の危機が訪れる。
だが突如、アンデッドの軍団が反乱軍を襲い次々と鎮圧。
禁忌とされる死霊魔術を一体誰が使ったのか。
謎の死霊魔術師の行方を追う王国の騎士・コンラートは、ある村で怪しげな屋敷に出入りする一人の少女・ルナに出会う。
赤い瞳、白い肌、金色の髪――少女は一体何者なのか? 
屋敷の主は死霊魔術師なのか?






面白かったです。
だれが勇者〜よりこっちの方が断然好みでした。


最初どう話が展開していくのかよく分からなくてこれは何をする話なんだ?と思っていたんですよ(あらすじ未読)。
ルナの語りで進んでいく書き方は勇者を思い出させるものがあった。


ネタバレあります。





人の命は有限であるからこそ美しいという事をルナが一つずつ確かめていくかのように永遠の命は欲しいか?と問いかけるルナ。

これは自分が望まない形で永遠を手にしてしまったからこそ誰とも寄り添えない悲しみも含んでいるように聞こえるんだけど(YESと答えたら多分実行してくれそうだし)、でもきっとルナ自身はこの問いかけはずっと否定して貰う事を期待して生きているのかな、とラストを読んで思いました。


ルナの生い立ちは決して恵まれた物では無かったけれど、出会う人それぞれがルナにとってかけがえのない存在で、そんな人達から分けてもらった優しさや強さで素敵な女性になった彼女。

結局ルナには誰とも共有出来ない永劫の孤独があるので少し物悲しさが残るものの美しい物語だったと思います。



ボツになったというエピソードも読んできた。
カーンはカーンなりに「人としての幸せ」をルナといる事で感じていたのに信念を曲げられなかったのは可哀想でしたね。
ここが明確な分岐点だったので彼が思い留まればカーンもルナも人並みの幸福を得られていた可能性があっただけに…







at 21:00│Comments(0) タイトル(さ行) 

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