2025年12月03日

【ふたりのカラス】(烏羽色のふたりシリーズ)

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学校からの帰り道で川に落ちたことをきっかけに、人間とは異なる見た目の“じゃない者”と、いわゆる人間“ひと”が共存する不思議な世界に迷い込んだ、中学1年生の双子の姉弟。
姉の冥(めい)は比較的豊かな国・ダルデールで目を覚ますが、「言い伝えにある、この国を滅ぼすカラスだ」と考えられ命を狙われる身になってしまう。
一方、弟の涅(くり)は貧しい隣国・ノーパーヴァで目覚め、「国を救うカラス」として王族に保護されていた。
弟の行方を探し続けていた冥は、ようやく涅がノーパーヴァにいることを突き止めるが…







面白かったです。
元の世界に戻るのかどうかという所は正直そうなるよなぁと思っていたんだけどメイが帰還した後のあの世界も少し見てみたかったです。

というか表紙の意味が分かった時が…



ネタバレあります。








ノーパーヴァを少しでも豊かにする為に奔走したクリは元の世界にはもう戻れないだろうなと前回の時点で感じていたんですよね…
なんの力がなくても救国のカラスとしての役目を全うしようとするクリにメイが本当にそれはクリとしての願いなのか?と問いかける所は良かったです。
問いかけられなかったらクリである事よりカラスである事を優先したと気付けないままだったでしょう。
ずっとメイに対して感じていた劣等感から「自分と同じ境遇になってみればいかにメイの言葉が綺麗事だったか分かるはずだ」と思っていてダルデールでのカラスの扱いなんかをグレドとアオイから聞いた時に彼が感じたのはざまあみろ、ではなかった時点で心の底から望んでいた訳ではないのだなというのが伺えました。

メイとグレドを捕らえた時には会話なんておよそ出来そうにないとは思ったんだけどそこは口が達者なグレドと素で気の抜ける(わざとじゃないんだろうけど絶妙に空気を読まない)発言をしているアオイにかかれば仮面を剥がすことなんて容易かったようです。
いや本当何しに来たの?ってずっと怪訝そうだったので案外隙あるじゃんと思っていましたよ。
変わったように見えてそう簡単に本質は変わらないんですよね。


クリが救国のカラスとしてノーパーヴァを武力でもって救う事を決め、自分では止められないと悟ったメイがまさかヤケクソ行動を取ってクリの計画を潰すとは思いませんでした。
ダルデール側は攻め込まれる話は多分ほとんどの人は知らなかったはずだから領王(とその息子)が連れ去られた先に何故かノーパーヴァの兵がいて意味分かんなかったと思う。
ダルデールとなんて話し合い出来る段階ではないと諦めていたメメリやクリを領王を強制的に連れてくる事で実現させる力技はやっぱり2人は双子だよね、と感じましたね。
まぁあっさりノーパーヴァ側に息子を人質に取られて息子は息子でやたら物分り良かったなとは思うけどあの場は神と堂々と信じている羽の者や舞う者が大暴れしてて混乱していたから「相手に冷静になる時間を与えるな」って畳み掛ける結果になったのも良かったのかもしれない。



混乱は収まり両国の関係が少しでも良くなりそうな予感はありつつもそれぞれが帰還するのかしないのか、アオイはどうするのかなどそれぞれの選択がありました。
メイはもう少し行く末を見ていたいと揺らぐもののその区切りはいつになるのかで迷い予定通り帰還を選択。
クリはやはり自分の引き起こした事の責任から逃げない為に残る事を選択。
アオイは帰りたいと思えるようになったら帰ると宣言していたがメイと一緒には帰還せず。
グレドは商人でいる事を貫く覚悟を見せ、アルモニはメメリに誘われノーパーヴァで居場所を得られそうで良かったです。

この後は帰還したメイの視点で進んだので最初に書いたようにメイ不在のあの世界がどう変わろうとしていくのかも知りたかったです。
そして最後の最後にアオイともう一度再会する終わり方はとても良かった。
どっちも記憶は残っていないようだけどきっと心が覚えているからふとした時に何かを思い出すかもしれないと想像すると楽しいですね。


綺麗事、傲慢、差別と中学生が背負うには重い物だったけど「知る事で悩む、だから考える」そしてその先で後悔しないように何を選ぶのか、を考えさせられる物語でした。








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